雑記『ユニセフのお兄さん』
ある都内地下鉄の駅前。ユニセフの青い帽子を被ったお兄さんがビラを配っていた。
瞬間的に無視したがビラを渡す手がしつこかったので、一枚受け取った。
ビラをもらってくれたと分かるとお兄さんは、すかさず私に声をかける。
お兄さん『こんにちは。ユニセフです!』
ああーしまった。これ募金しろって説得されるやつやーと思いながら迷惑顔したが、お兄さんは続ける。
お兄さん『突然ですが、問題です。5という数字とアフリカの難民とはどんな関係があると思いますか?』
私「一秒間に世界で亡くなる子供の人数…でしたっけ?」
お兄さん『そうです。こうしている間にも、多くの子供たちが亡くなっているんですね。はい、では、また問題です。難民の母親が子供を生んだときにへその緒を切る器具が不衛生で、それが理由で毎年何人か病にかかってしまいます。新しい衛生的な器具を買うのにいくらかかるでしょう?』
私「…50円?」
お兄さん『もっと安い!10円です!』
その後もなんだか質問攻めにしてくるお兄さん。声もはきはきしていて、巷の好青年っぽいが、逆にそれがめんどくさい。
根気よく話を聞いていくと、どうやら新しくできた月額制の募金(安いプランで月額2千円)に誘導したいらしい。
※よく見ると額は自分で決めていいって書いてあったけど、この時は2千円取られると思ってた。
そうだ、話をそらそう。それで和やかな空気になったところでさっと帰ろう。
私「今日、これ何時まで、やるんですか?」
お兄さん『17時までっすね〜9時半からここに立ってるんですけど』
私「ああー、結構大変ですねえ。」
お兄さん『ここ、会社とか多いビジネス街だからか、忙しくてみんな話聞いてくれないんですよ。でも、こういう機会がないと、みなさんなかなかユニセフのことなんて考えないでしょ?難民かわいそうだなあとか、そうは思ってもなかなか行動できなかったりね。だからこういう機会大事にした方がいいと思うんですよー』巧妙に話を戻すお兄さん。
ユニセフのお兄さんはたびたび難民かわいそうでしょって連呼していたが、お兄さんが言うと何故か違和感がある。なんでだろう。
私「…ああ、でもすみません。私いま職がないので月額制で募金できるお金ないんですよー。いやあ、ここに募金箱があれば月額制の一日分出せるんですけどねー」
お兄さん『ああー、みなさんそう言われるんですよ。箱はねえ、今日ないんですよ。あれ用意するといろいろ費用がかかってしまって』
私「そうですかー、残念です。募金したい気持ちはあるんですけどねえ…」
ちょっとやらしく言ってみる。
お兄さん『そうそう費用って言えば、ここで僕らこうやってみなさんにお話してるでしょ?これね、警視庁の許可を得てるんです。二週間2千円で』
私「あ、意外と安いですね」
お兄さん『公共施設だと、タダでやらせてくれるんですけどね。こうやって活動して、少しでも多くの人に考えてもらうことが大事ですね』
よし…ここでいい感じに和ませなければ…
私「でもそういうことでしたら、ユニセフのこと、お兄さんのこと、私の記憶に残りましたよ」
お兄さん『ありがとうございます。』
私「いえいえー」会話が終わった空気を出す。帰りたい。
よし…かえr
お兄さん『あ…来年から始めるってどうですか?』
私「…え、なにを?」
お兄さん『いやあの、今回の月額制。来年から始まる契約にもできるんです』
ええー、今の空気でまだ頑張りますかお兄さん。
私「いやー…職がないので。…いやすみません。ここに募金箱があったら…今募金できるんですけどねえ…」
お兄さん『今は難しいと…』
私「すみません…」お、やっとあきらめた。
お兄さん『最後に…今日9時半からここに立って今は12時。何人が僕の話をきいてくれたと思います…?』
私「…3人?」
お兄さん『おしい…2人です。あなたで2人目です。』
私「そうですか…がんばってください。…あ、お兄さんと話せて楽しかったですよ!」
お兄さん「ありがとう…。がんばります!」
はにかむお兄さん。和やかになったのでここで退散。
お兄さんの首から下がってた名札の顔写真が、ヤンキーのように目つきが悪く、悪人面だったので終止怖かったのでした。
長くなりましたがユニセフのお兄さんの話は以上です。路上で営業したり、販売してる人に話を聞くと面白いので、結構話を聞いてしまいます。
今回で言うと…お兄さんという本来の人間性があるはずなのに、ユニセフにお兄さんが洗脳されてるように見えるんですよね。ユニセフ人に改造された人のような。
こういう人達って無視され続けてさみしいのか、話聞くと嬉しそうに話してくれますね。そういうところから、その人の人間性が見えたりユニセフの路上活動の費用がわかったりするので楽しいです。
おしまい。